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アイドルグループ・モーニング娘。(以下、モー娘。)の卒業メンバー10名が2011年1月28日に「ドリーム モーニング娘。」(以下、ドリ娘。)を結成した。これはモーニング娘。にとっても大きな転機となる。
ドリ娘。は中澤裕子、飯田圭織、安倍なつみ(以上、初期メンバー)、矢口真里、保田圭(以上、2期メンバー)、石川梨華、吉澤ひとみ(以上、4期メンバー)、小川麻琴(5期メンバー)、藤本美貴(6期メンバー)、久住小春(7期メンバー)で構成される。辻希美も加入予定だったが、2010年12月に第2子を出産したことから芸能活動を休止し、育児休暇に入った。
ドリ娘。はアルバム『ドリムス。(1)』のリリースやコンサートツアー『ドリーム モーニング娘。 コンサートツアー2011 春の舞 ~卒業生 DE 再結成~』を計画している。アルバムのタイトルに数字を使うことハロー!プロジェクト(ハロプロ)の流儀であり、ドリ娘。の本気ぶりを示している。モー娘。は1998年1月28日に「モーニングコーヒー」でメジャーデビューしており、その記念すべき1月28日にドリ娘。も披露された。
実は2011年に入ってからモー娘。に大変動の動きがある。まず1月2日に9期メンバーの加入が発表された。9期メンバーはオーディションで選ばれた鞘師里保(さやし・りほ)、生田衣梨奈(いくた・えりな)、鈴木香音(すずき・かのん)の3人と、ハロプロエッグから選ばれた譜久村聖(ふくむら・みずき)の合計4人である。
さらに1月9日にはリーダーの高橋愛が秋のツアーを最後にモー娘。及びハロプロから卒業すると発表された。高橋は1月23日には卒業後の11月から東京・帝国劇場で上演されるミュージカル「ダンス オブ ヴァンパイア」でヒロインのサラを務めることも明らかになり、卒業後に向けて動き始めている。
高橋は長期に渡ってモー娘。のセンター及びリーダーとして君臨してきた。モー娘。の中で高橋一人が目立つ状況はファンの間で「タカハシステム」とも称されてきた(林田力「モーニング娘。韓国人蔑視写真騒動の深層(下)」PJニュース2010年11月22日)。
その高橋が卒業する以上、モー娘。の変貌は必然である。新メンバーを前面に出せば、フレッシュ感をアピールできる。新メンバーは12~14歳で小学生も存在し、何かと比較されがちなAKB48のメンバーの年齢層よりも若い。鞘師や鈴木は卒業する高橋とは干支が同じであり、メンバーの入れ替えによってモー娘。の平均年齢は大きく下がる。
これはモー娘。がファン層として女子小学生を重視する表れと分析できる。実際、オーディションで選ばれた新メンバーは外見もダンスも歌も洗練されており、同年代以下の同性の憧れの存在として相応しい。一方でモー娘。初期に同年代でモー娘。に加入したメンバーに比べるとインパクトが薄い。
オリジナルメンバーの福田明日香と3期メンバーの後藤真希は、タイプは異なるものの共に年齢以上の大人びた印象を与えた。反対に4期メンバーの辻希美と加護亜衣は年齢よりも幼い子供っぽさが魅力であった。彼女らに比べると、9期メンバーは良くも悪くも普通である。あくまで普通の範囲内での洗練である。この点が同年代以下の同性からの支持にはポイントになる。
モー娘。は所謂「オタ」がファン層の中心であるが、それだけでは難しい状況にある。既にAKB48に大きく差をつけられた感がある。しかし、AKB48に差をつけられたことはモー娘。の失敗ではない。モー娘。はAKB48の路線を早い段階で放棄していた。
AKB48の特徴は徹底的な競争である。選抜メンバーに入らなければメディアに露出することもできない。この競争がAKB48にドラマをもたらした。その典型が2010年のAKB48 17thシングル選抜総選挙「母さんに誓って、ガチです」である。ここでは大島優子が「不動のセンター」と呼ばれていた前田敦子を破る逆転劇が起きた。
しかし、競争が常にグループの成長につながるとは限らない。勝者と敗者が固定化し、競争自体が格差を固定化する仕組みとして機能する場合も多い。確かに17thシングル選抜総選挙では前田の首位陥落が話題になった。それでも前田は2位にとどまり、上位陣の顔ぶれも変わらなかった。これが人気投票のドラマとしては限界であり、ドラスティックな変化は起こりにくい。
人気投票である以上、過去からの蓄積のある前田ら上位陣には大きなアドバンテージが存在する。これは構造改革によって競争が奨励された結果、日本が格差社会になったことと類似する。人気や資本など単一の尺度だけで競争を激化させると、むしろ格差は固定・拡大する。
この問題はAKB48も考えていた。その後の19thシングルは「じゃんけん大会」でメンバーを選抜した。競争の基準を変えてしまうことで、全員がゼロからの勝負を余儀なくされた。構造改革論者は「競争社会は公平である」と語るが、真の意味で公平とは何なのか考えさせられる事例である。この「じゃんけん大会」では大島が1回戦で敗退し、前田もメディア選抜から漏れるという従来の選抜総選挙では考えられないドラマが起きた。競争の基準を変えることでグループを活性化させた例である。
このような競争主義はモー娘。の路線ではない。AKB48では前田が「不動のセンター」と呼ばれていたが、そのような言葉が生まれること自体がAKB48のセンターの浮動性を示している。これは安倍なつみ、後藤真希、高橋愛ら時期によってセンターが固定しているモー娘。と対照的である。
しかし、結成当初はモー娘。もメンバー間の競争がクローズアップされていた。モー娘。はオーディション番組『ASAYAN』で誕生し、活動が番組内で紹介されたが、そこにはメンバーの競争を煽るような内容があった。メジャーデビュー前のシングル『愛の種』やデビュー曲『モーニングコーヒー』ではソロパートやセンターの争奪戦が盛り上げられた。
モー娘。で恒例となったメンバー増員も最初の目的は「競い合わせる」ことであった。ところが、当時のファンは最初の増員に反発した。メンバーを苦しめて楽しむテレビ的な嫌がらせに見えたためである。インターネットでは増員反対の署名運動まで行われた。
それでも増員は強行され、次第にファンもメンバーの増員を受け入れ、モー娘。の特徴とまで認知されるようになった。これはファンの反発が無意味であったことを意味しない。猛反発の後遺症は残り、『ASAYAN』がメンバー間の競争を露骨に煽ることは少なくなった。モー娘。にとって競争路線は過去に捨てたものである。
AKB48以外でもアイドルの競争は激しく、女性アイドルグループ戦国時代とも言われている。少女時代やKARAなど韓流アイドルも躍進している。ハロプロ内でもスマイレージが成長している。
さらにモー娘。OGによる「ドリーム モーニング娘。」である。ドリ娘。には高橋の同期(小川麻琴)や後輩(藤本美貴、久住小春)メンバーも加わっており、高橋が卒業後に加わっても不思議ではない。現センターである高橋がドリ娘。に加わるならば、ドリ娘。は完全に現在のモー娘。ファンと競合する。故にモー娘。は新たなファンを開拓する必要がある。
このような状況においてモー娘。が女子小学生重視にシフトしていくことは合理的である。それはタカハシステム以前のモー娘。が志向していた路線でもあった。国民的アイドルグループと言われたモー娘。の黄金時代には女子小学生の強い支持があった。その原動力となったユニットがミニモニ。であった。
そして黄金時代経過後のモー娘。でも再び女子小学生訴求路線でテコ入れを目指した。その担い手がミラクルエースと呼ばれた7期メンバーの久住小春である。久住は少女漫画原作のアニメ「きらりん☆レボリューション」の主人公「月島きらり」の声優となり、「月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)」名義でソロ活動も行った。久住はソロ活動で女子小学生のファン層を開拓したが、モー娘。本体への還元は今一歩であった。
一方、センター及びリーダーとして君臨した高橋は、どちらかと言えば女子小学生訴求路線の破壊者であった。ミニモニ。は身長150cm以下という当初の加入資格を破って高橋が加入したため、グループの性格が変貌した。
久住は藤本美貴が長くリーダーを務めていたならばモー娘。の中でキャラが立ち、ソロのファンをモー娘。本体に呼び込めた可能性がある。本気かネタか分からないが、厳しい藤本に苛められる薄幸キャラとして久住は絵になった。しかし、藤本はリーダー就任後1か月足らずで脱退し、代わりに高橋がリーダーとなった。
高橋は歌唱力やダンスの能力は高く、だからこそ長期に渡ってセンターを務めることができた。また、矢口真里や藤本のような短命リーダーと異なり、スキャンダルとも無縁であり、自らを律している。理想的なアイドルであるが、強いて不足点を挙げるならば他人と絡んで他人を引き出すようなことはしない。久住はモー娘。の中では埋没し、先輩の5期6期メンバーよりも先に卒業してしまった。
モー娘加入以前から宝塚歌劇の大ファンという本物志向の強い高橋にとって、お子様路線は面白くないかもしれない。その高橋の卒業はモー娘。の女子小学生訴求路線の復活になる。
http://www.hayariki.net/hello.html
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